イギリス大学院で学ぶ国際協力①~国際協力に興味を持ったきっかけ〜

国際協力に関心を持ち、活動されている方の声を寄稿形式で掲載していきます。今回は、イギリスの大学院で開発学を学ばれている生駒知基さんよりご寄稿いただきました。

国際協力に関わったきっかけ、そこからどのように行動していったかが記されています。ぜひお読みください。

 

こんにちは!

イギリスのサセックス大学大学院で開発学を学んでいる修士1年の生駒知基と言います。今年(2018年)の3月に東大の文学部を卒業して(専門は社会学でした)、イギリスの大学院に進学しています。

実は、イギリスは開発学研究が盛んな上、1年で修士課程が終わるので、金銭的・時間的にも非常に効率的です!今回は、僕が開発学・国際協力に興味を持ったきっかけと、どんなことをしてきたのかということを書いてみました。大きく分けると、

①国際協力に興味を持ったきっかけであるインド旅行、

②開発学を学ぶためのオランダへの留学、

③マレーシアでの難民支援インターン

の3つについて書いています。

 

そもそもなんで国際協力に?

そもそも僕が国際協力に興味を持ったきっかけは大学2年生の時のインド旅行でした。友人とインドを旅行してニューデリー・バラナシ・アグラ・ジョードプル・ジャイプール・ムンバイ・ゴアなど様々な都市を1ヶ月かけて周りました。

インド旅行

そんな旅行の途中で、衝撃的な光景を目の当たりにしました。

 

それは、脚のない男の子が、腕だけで動きまわり、信号が赤になる度に車道に出ている姿でした。

 

彼は、信号が青になると走り出す車から逃げるように車道から離れていき、信号が変わる度に、何度も何度も、同じことを繰り返していました。

 

最初にこの光景を見たとき、その男の子が何をしようとしているのか分かりませんでした。ようやく彼の意図が分かったのは、彼が赤信号で止まっている車の運転手に対してお金をねだり、窓越しにお金を受け取っている姿を見た時でした。

 

彼は物乞いで、赤信号になる度に車道に出て行って停車中の運転手からお金をもらい、信号が青になると即座に車道から離れるということを繰り返して生計を立てているようでした。

 

この光景を見た時に、「インドのような発展途上国では社会保障がどのようになっているんだろう?」ということや「彼らはどんな教育を受けているんだろう?」ということに想いが行きました

 

ちょうど2年生の夏で、進学する学部を決める時期だったこともあり、国際協力・開発学を学べそうな所はどこかと考えて社会学を選択しました。そもそも開発学とは学際的な分野で、政治・経済・国際関係・社会学・文化人類学・地理・保健・公衆衛生など様々なアプローチが可能です。東大の本郷キャンパスで学んでみたかったこともありその中でも、一番自分の興味に近かった社会学を専攻しました。

 

オランダ留学とマレーシアでのインターン

東大だけではなく、違う大学でも学んでみたいと考え、大学3年生の時にオランダのライデン大学に交換留学に行きました。そして、そこで出会ったマレーシア人の友人の紹介でマレーシアでインターンをすることになりました。

 

アジア(東南アジア・南アジア)の発展に興味を持っていたので、アジア研究の進んでいるオランダのライデン大学で学んでみようと思ったのがきっかけでオランダに留学しました。留学中に履修した授業の内容などは長くなるので省きますが(「社会学・文化人類学的観点から学ぶ東南アジアの発展」などとても面白い授業でした)、結果として、ルームメイトのマレーシア人に紹介されて3ヶ月マレーシアのUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)で難民支援のインターンをすることになりました。

最初は「いきなり海外でインターンなんて…」と思っていたのですが、意外と人手不足だったりすることもあり(受け入れ機関からしても無償で働いてくれるインターン生はありがたいらしいです)、また欧米系の学生が授業でいなくなる10月頃からの開始を希望していたことも幸いしてインターンすることができました。

 

インターン中に特に印象に残っているのは、10月24日の「国連の日」のイベントに向けた準備でした。たくさんの国連・国際機関の職員が集まるそのイベントでは、マレーシアの難民問題に対する周知を高めるためにマレーシアにいる難民(ミャンマーからの難民の子ども達)に歌を披露してもらうことになっていました。

 

僕は他の職員・インターンと一緒にその子どもたちが通う学校(コミュニティ・ラーニングセンター)に赴き、子どもたちの練習の手助けをしました(と、言っても歌に関しては何もコメントできないので、録画したり部屋の準備をしたりするのが主だったのですが…)。

 

そして迎えたイベント当日。

 

数百人が集まる中で、難民の子ども達はこれまで練習を重ねてきた「Love can change the world」を披露しました。緊張のせいか、序盤は声が十分に出ていない気もしましたが、次第にいつもの調子を取り戻し、歌い終わった後会場は拍手に包まれました。

 

歌い終わった後の晴れやかな彼らの顔が印象的でした。

 

「難民支援」のために日本からマレーシアに来たはずだったのに、力強い彼らの歌声に元気をもらったように思います。

 

このような様子で3ヶ月のインターンを終え、帰国してから「やはり開発学を学ぶならイギリスだ!」と思うようになり、現在はイギリスの大学院で開発学を学んでいます。

学部生時代を振り返って

学部生時代を振り返って、もともと漠然と国際・海外ということに関心を抱いていたのが、インドの旅行などを経て国際協力・開発学に興味を持ち、さらに留学先での思いがけない出会いを経て難民問題に関心を持ち…というように、当初考えていた進路が少しずつ軌道修正したり、さらに精緻になっていたような気がします。

 

なんとなくでも進路や自分の関心があることを決めたらまずはそれを実際に自分の目で見に行ってみること。実際に見ることで、予想とどう違うのかや、自分がどう感じるのかということを一歩引きながら観察・分析することで、「自分は何に興味があるのか」ということがだんだんと形になっていった気がします。僕の場合はその機会がインド旅行であり、オランダ留学であり、マレーシアでの難民支援インターンだったわけですが、そのおかげで少しずつ将来のどのようなことをしたいのかということを固めて行くことができたように思います。

 

続く。「イギリス大学院で学ぶ国際協力②~大学院の授業の様子」

http://kokusai-k.net/about-the-graduate-lecture/

 

*このコラムでは、便宜上「国際協力」・「開発学」を同一のものとして扱っています。「国際協力」が実務を表す一方で、「開発学」はそれらをアカデミックに研究したものを指していると考えられます。

 

**「開発学」を発展途上国で起こる様々な事象に対して観察・分析を行う学問であると定義すると、発展途上国で起きている難民問題も「開発学」の枠組みに入ります。また、難民問題は人の移動と捉えられ「移民学・移民研究」の枠組みに入ることもあります。