行動することで思いを形にしていく〜岸本華果さん〜

国際協力に関心を持ち、活動されている方の声を寄稿形式で掲載していきます。今回は、東京大学に通う岸本華果さんよりご寄稿いただきました。

彼女がどんな想いを持ち、どんな行動を取ってきたのかが記されています。ぜひお読みください。

 

こんにちは!

東京大学農学部国際開発農学専修の3年生の岸本華果です。私は「世界の貧困問題を解決したい」という夢を軸に大学生活を送っています。何か学生団体などで国際協力に携わっているわけではないのですが、どのような方法で夢を実現しようかを、行動しながら考えています。この記事では、私が何を考え、どんな風に行動してきたかを紹介したいと思います。

 

夢を抱いたきっかけ

この夢を抱くきっかけになったのは、高校2年生の夏に参加した、シアトルでの京都市グローバルリーダー研修でした。ビル&メリンダ・ゲイツ財団の施設を訪問した時に、食料、衛生、保健、教育など世界の現状に関する様々な展示を見ました。初めてそういったことに触れて衝撃を受け、この人たちのために何かしたいと、国際協力や開発援助に興味を持ち始めました。しかし、国際協力などの社会貢献活動というと、ボランティアやお金にならないイメージが先行し、どうやって仕事にして良いのが分かりませんでした。お金持ちになってそのお金で何かすることもできますが、自分の人生そのものを、夢を実現していく日々としたい思い、自分がどんな形で国際協力に携わっていきたいのかを考え始めました。

 

貧困問題を解決するといっても、法整備、教育の普及、医療制度の充実、薬の開発、インフラの整備、食糧問題や環境問題の解決など、方法はたくさんあります。アプローチする分野は、大学でもっといろんなことを知ってから自分の好きなところを選びたいと、3年生から学部に分かれる進学選択制度のある東京大学を目指しました。大学入学後は、文理関係なく様々な授業を受けたり、本を読んだりしながら、長期休みには国内外のプログラムに参加しながら、自分の心惹かれる分野が何か、その分野で自分がしたいことやできそうなことは何かを考えてきました

 

途上国に行ってみて

国際協力について考えるには、まずは途上国に行って現場を見るのが良いと思いましたが、一人で行くのは少し怖い気持ちもあったので、海外ボランティアなどのプログラムを探しました。その時に偶然見つけたのが、武者修行プログラムという、2週間ベトナムでビジネスを体験するものでした。なんとなく行った説明会で、担当者に国際協力に興味があることを話すと、貧困解決の手段としてビジネスもありうると言われました。その方は、「ベトナムでは英語のできるできないで収入が大きく変わり、低所得者層は英語の教育費を払えないからということで貧困の連鎖がなかなか断ち切れない。そこで英語教育を低価格で提供することは、貧困解決に繋がってくる。」とおっしゃっていました。国際協力というと、それまでは国連やJICAやNPOしか頭にありませんでしたが、初めてビジネスというアプローチがあることを知り、興味が湧いてこのプログラムに参加しました。そこで出会った方に、「ヒントは現場にあるよ」というアドバイスをいただき、その後NICEというNGOを通して、カンボジアで英語教育を行うワークキャンプに参加しました。

初めて行った途上国では、不便で決してきれいとは言えない環境での生活になかなか馴染めずにいました。しかし、それは先進国での生活に慣れきった私の感じたことであり、現地の人は不便とは思っていなかったし、本当に楽しそうに幸せそうに毎日を過ごしていました。貧困や幸せ、国際協力や開発援助ってなんだろう、と考えるきっかけになりました。

 

国連へ行ってみて

とりあえず現場に行ってみた後は、大学のゼミに応募しNYの国連本部に行きました。個々の現場で深く関わっていくと範囲は限定されてしまうから、より広く影響を与えるのなら、制度を変えられるような現場からは少し遠い組織を見てみたいと思ったからです。国連は機関ごとに現場との距離感がバラバラでした。ポストへの応募の仕方にもよりますが、異動も多いので仕事以外の自分の生活をどうしたいかも考える必要があると思いました。職員さんの働く姿を見たり、お話を聞いたりして、それまでよりも国連職員という選択肢を身近に感じました。

アプローチの仕方に関する悩み

その後は、具体的にどこのどんな問題に対して何がしたいのか、それを実行するのにベストな手段は何か、について迷っていました。いろんな国や地域の生活を見ることで見えてくるものもあるだろうと、ミャンマーを旅したり、スリランカの有機農場ワークキャンプに参加したり、モザンビークでの環境教育ワークキャンプに参加したりしました。省庁、国際機関、NPO、ソーシャルビジネスをやっている会社で働く方や開発コンサルの方の講演会やセミナーに、お話を聞きに行ったりしました。

 

現在の思い

こうした経験から、現在はフードロス問題を解決するソーシャルビジネスで起業したいと考えています。当初は技術指導などで途上国の食糧増産に関わりたいと思っていました。生きていくのに欠かせない食というものは、その行為自体に幸せを感じますし、それを誰かと共有する時間も楽しくて幸せです。そうあってほしい、あるべきだと思うので、それが十分に享受できない環境にいる人に対して、なんとかしたいというのが私の想いでした。しかし、世界全体でみると食料は足りていて分配の問題であるということを知ってから、食料が足りない人もいる一方で、毎日大量の食料を廃棄している現状に大きな疑問を抱くようになりました。いくら途上国で食料を増産しても、流通がしっかりしていないと消費者のもとには届かないし、先進国が安く買い叩けば農家さんにお金は入らないし、買ったものを廃棄しているようであれば足りなくなります。生産を増やすのではなく、流通や消費段階でのロスを減らしたりシェアしたりすることで、食料問題やそれに伴う貧困問題の解決に向かえないかと考えています。今は、課題をしっかり把握しないと解決方法は浮かばないだろうと思い、フードロスについて勉強しているところです。

 

読んでくれた方へ

私は自分が何をしたいのか、行動することで新たな選択肢と出会い、さらに行動することで選択肢が狭まってきました。行動して様々なことを知ることがなければ、なんとなく難しそうな気がして諦めていたような気がします。せっかく貧しい人や困っている人を助けたいという思いがあっても、それを形にしないのはもったいないと思います。いろんな人と出会い、いろんな形の関わり方を知ることで、きっと何か見えてきます。悩んだ時にはぜひ行動してみてください